サラームカフィ公式ブログ〜WEB自家焙煎教室〜

Salem Kaffee(サラームカフィ)の公式ブログです、焙煎理論・抽出理論・サンプルロースター設計を公開しています。

オールドビーンズを30分で作るペクチン予備加熱焙煎

 

突然ですがなぜ枯れ豆、オールドビーンズは一部の人達に好まれるのでしょうか?

 

その独特な美味しさは水分量が自然乾燥で減ることやクロロゲン酸類の渋みが抜けることで生じる、などいろいろ言われて来ました

 

しかし私が思うに、一番の違いは古米と同じく「硬さ」にあると思います

 

植物の種子なのでコーヒーも数年置いておけば当然固くなるわけです

 

標高の高い寒暖差のある土地で育った豆も硬く、分厚いゴム風船のように焙煎中の高い圧力に耐えて大きく膨らみふっくらサクサクの美味しいコーヒー豆にできます。

 

私はそれらを再現するためにペクチンに関わる酵素を使うことにしました

 

具体的には豆をモーターに付いた撹拌羽根で撹拌しながらヒートガンで60℃の熱風を30分当てることで豆のペクターゼなどが酵素反応を起こしペクチンが変質して豆を固くします、

 

これは酵素が最大限に働く野菜を固く煮るための「予備加熱」の温度を参考にしました、これ以上高温だと酵素は失活してしまうので。

 

(完全熱風式焙煎機でもできるかもしれませんし食品乾燥機や布団乾燥機などでもできるでしょう)

 

そうすると当然乾燥もできて水分量は数%減り、焼きやすく、ペクチンが変質して豆は固くなり、

 

更に他の酵素反応も起こすのか恐らくデンプンなどの多糖類も多少分解されて甘みが増しメイラード反応も強く起こります。

 

もちろん枯れ豆と同じくそれを美味しいと思うかは好み次第です。

 

否定的に見れば、香ばし過ぎる、甘みがべったりしてキレが無い、個性が減るなどなど様々な見方ができます。

 

やはりオールドビーンズと同じく一部の水分量の多い大きな豆の深煎りにこの方法は向くと思います。

 

今日から2024/04/19様々な温度、時間種類、焼き方など研究してみようと思います😊

3ハゼ研究の現時点まとめ

現時点での3ハゼ研究を要約すると

 

3ハゼ焙煎とは豆表面温度240℃以上(温度計表示ではなく)になっても豆が油まみれにならず表面はカラッとカサカサしていて、あるいは焙煎直後に真っ黒で油まみれでも嫌な苦み雑味がなく、とにかく豆がふっくら大きい、昔のブタ釜や直火式の焙煎で行われる焙煎である。

 

そこに到達するには現時点で

 

❶わざと生焼けのまま3ハゼまで持っていき焙煎ピークを240℃以上にする、かなり難しい、成功すればとてつもなく良い深煎りの香りになるが再現性がない、また何故か煙少なく油まみれにもならない

 

❷長時間の20分以上の焙煎で序盤に徹底的に水抜きをする。

経験則として前半の時間を長く取り200℃1ハゼ到達後に3分以上のデベロップメントタイムを取り220℃で2ハゼへ、その後2分で240℃で3ハゼ?以降で終了(音は2ハゼと被って不明)

 

以上2つの焙煎が私にはできますが安定して美味しいかというと…

 

うーむ3ハゼがなぜ焦げずに美味しくなるのか理屈がさっぱりわかりませんね~

 

それに250℃近くになったら発火するし…

 

熟練のブタ釜使いの職人技を理屈でコピーするのはまだ無理があったか…🥺

3ハゼ焙煎と4ハゼの話

リグニンの熱分解によって豆温230℃(温度計とは差があります)で起こる3ハゼ。

 

今これを研究中なのですがサンプルロースターでは230℃で弱々しくチ…と音を立てた豆が240°cでチチチチと連続してなる事に気が付きました、

 

(奇しくも先日コーヒージャーナリスト岩崎泰三さんのユーチューブチャンネルで中野珈琲焙煎ぶれんどーさんの動画が上がっており、そこでブタ釜で3ハゼをいれる様子が写っていました)

 

調べてみるとバイオマスの中でセルロースが240℃程度で熱分解もしくは脱水縮合する(この辺りはまだ完全には明らかではないようです)という文献がありました。

 

これまた仮説ですが240℃でセルロースがやわらかくなりチチチチと音がなるのを3ハゼと昔の職人さんたちは読んでいたのではないでしょうか?

 

つまり本当はコーヒー豆の焙煎には最高で4回のハゼるタイミングがあるのではないのでしょうか?

 

この仮説を焙煎に活かしたいのですが

大きな問題は本当のところ何度ぐらいでコーヒー豆は発火するのかということです!ちゃんとした先行研究が見当たらず、

 

条件によって変わるのか?それとも いつも一定の温度で発火するのか?そもそも温度計で計測できるのか?

 

それすらわからない状態でサンプルロースターとはいえこの状態で4ハゼを研究するのは余りに危険だと思います…

 

幻の3ハゼ焙煎!?

「幻の3ハゼ焙煎!?」

 

焙煎マニュアルに書いたように珈琲の1ハゼはリグニンの溶融で豆温度200℃丁度に起こり、2ハゼはセルロースの熱分解で220℃丁度でハゼる、というのが私の仮説なのですが、

 

水抜きをしすぎて圧力が足りないときなどに230℃のリグニンの熱分解する時にハゼることがあります、

 

私はいままでこれを古い文献などに書いてある今では言う人もいなくなった3ハゼだと考えていました。

 

3ハゼは昔の焙煎機や焙煎方法でしか起こらない例外的な現象で今では起こらないと思っていたんですが

 

最近サンプルロースターで焙煎していて考えを改めました、非常に小さな焙煎機だからハゼ音がよく聞こえるのですが1ハゼでパチパチ2ハゼがピチピチなったあと丁度10℃温度が上昇したときチ…と音がなる事に気が付きました。

 

そしてこの音を境に味も見た目も大きく変わります、これは3ハゼと呼べるのではないでしょうか?

 

実は3ハゼは起こらなくなったのではなくただ単に音が聞こえなくなっただけなのではないでしょうか?

 

つまり、豚釜など昔の焙煎機では前蓋が開いて豆の音を聞きやすかったり釜が薄かったので聞こえたハゼ音が焙煎機の前蓋や本体がぶ厚くなったり密閉性が上がったりしたことで

 

単純に「聞こえなくなった」ので3ハゼについては忘れ去られてしまったのではないでしょうか?

 

 

 

この辺りの本当の事情はわからないのですが昔からの焙煎されている老舗の皆さん3ハゼについて何かお聞きになったことは御座いませんか?

よろしければご教授ください。

コーヒーの香りを破壊する銅イオン

「珈琲の香りを破壊する銅イオン」

 

 

昔あまり反響がなかったけど今ならバズるかなというわけで、また銅イオンの話です。

 

銅が水に触れると放出される銅イオンはコーヒーの香りを破壊してしまいます。

 

理屈でいうと銅と硫黄は反応しやすいので有機硫黄化合物である香りの成分と結合して香りをだめにしてしまうのです。

お手元のコーヒーに十円玉を一瞬浸けて実験してみてください。

 

これは中国茶やワイン業界で知られていることなのでそのうちコーヒー業界でも知られることになると思います。

 

これがなんでコーヒーの問題になるかと言うと水道管の部品や写真の整流栓という家庭用蛇口についている黄銅製の部品が銅イオンの放出元に成るからです。

 

更に寒い時期お湯でコーヒー器具や茶器を洗いますが温水器には熱伝導の良い銅のパイプが使われているのでお湯でカップを洗ったり同じ蛇口からお湯が混ざった水をくんだりすると著しく香りが悪くなります、

 

厄介なのが銅は元素なので真水でよく流す以外に対処法がないことです。

 

エスプレッソマシンも銅パイプ銅ボイラーなのでそこからお湯をとるのはオススメできません)

 

また私が心配しているのはワイン業界で起こったことが有機コーヒー業界でも起こることです。

 

ワインには代用農薬としてベト病にきく消石灰硫酸銅を水に溶かしたボルドー液が使われているのですがそれを使いすぎるとワインの香りを悪くすることが知られています、

 

もし地球温暖化とかでコーヒーサビ病がまた蔓延したら有機農法をしている人たちもボルドー液のようなものに頼るのではないでしょうか?

 

そうして土が銅まみれになって過剰に吸収されて有機コーヒーの味が台無しになり除染に何年もかかる…

もちろんそうなったとしても使う人を責めるわけには行きません、そうならないことを願うばかりです。

 

他にもコーヒーの香りを破壊する物質はたくさんありますがそれにつきましては拙著「サラームカフィのプロも知らない美味しい珈琲の淹れ方〜珈琲はマヨネーズ電池〜」をご覧ください。